「スキンケアの化学」田上八朗著(2015年出版)を読みました。
最初アマゾンで買って手にとったときにはしまったと思いました。専門的過ぎん?
それから1年は寝かしてしまったな。ふと読んでみようと思いたち2日間でよみました。
人間の多彩な臓器を保護し外的環境から保護している皮膚。その厚さは部位にもよるが1/50mmにも満たない。
さらに皮膚の中でも外界と接している角質に至っては10数μmの暑さだ。 皮膚に関しての専門的な用語を交えながらも著者の渡米生活や従事していた先生などとの交わりも加えながら自分にもわかりやすく構造とskin careの方法を伝えてくれます。
皮膚の構造を理解しようとすればかなり難しいと感じることもありましたが、そこはななめ読みをし、アウトラインを掴むことに専念。
大まかな事をまとめると以下のようになります。
- 皮膚は外界とを区別する優秀な器官
- 紫外線の影響は一種の放射線障害
- 紫外線ケアが光老化、しいては健康に必要
皮膚を専門的に研究するというのは著者が京都大学に入学したときにはユニークなことであったが、アメリカなどの先進研究に触れて徐々に肌に関する研究が徐々に進んできました。その中で哺乳類、特にヒトの持つ皮膚の驚くべき機能や今までの誤った治療法が徐々に明らかになります。
そして正しい治療法(スキンケア)やいままで老化と一言に言われていたシミ・シワに対する紫外線影響やその他の乾燥肌に起きている肌の状態を細かく説明しています。
読むと今まで肌荒れがどうして起きたのか、どういう季節だったのかというのがわかってきます。結局肌のケアが必要だって言うことに行き着くのですが、その理由を知れば対策も意欲が湧いてきます。
シミ・シワは老化?
かつては老化と言われてきたシミやシワは実は老化とは別に、光老化によるもの。
かつてはビタミンD不足による、くる病防止などが叫ばれた時代の名残で日光浴などの日照行動が推奨されていた。
ただ食環境などがととのうにつれその必要は無くなってきた。
むしろ紫外線障害、つまり一種の放射線障害であるという心構えで日光に対応することが必要であると著者はいう。 それも乳幼児からその対策は必要である。
なぜなら今では食事についても栄養がとれ、サプリメントでも補足が可能な時代である。また、日常生活において太陽の下に出ることは避けられないため、通常の生活において、十分に日光を浴びることができるため。
日本でも主に屋外での仕事をしてきた人は先の日光に対する認識もあって紫外線ケアは行っていないことがほとんどです。そのため多くの方が日照曝露している顔、首などにシミ・シワ、たるみが見受けられます。
これは加齢によるものと思われてきましたが、日照曝露によるものつまり光老化によるものだとわかってきています。
さらに強い紫外線を浴び続けると皮膚がんの恐れもあり非常にリスクが高い行為であるとしています。
皮膚の構造、外界と隔てる数十μmの壁
皮膚の構造は皮膚にはまず角質があり、その下に真皮がある。
この境が非常に重要である。魚や両生類でも皮膚というものはあるが、人間のような機能は持っていない。それは体を乾燥から守り、細菌の侵入をバリアするという優秀な機能をもっている。また、毛で覆われていないことで暑い寒いの環境に衣類での調整ができるようになっている。
この角質があることで体内の水分の蒸散を防いでいる。また角質のターンオーバーは大体2週間であるが、角質が薄い顔、首部分は1週間程度となる。
スキンケアについて 皮膚の炎症は角質の水分が失われ、バリア機能が低下して外界の細菌が体内に侵入して起こる。そのためにも皮膚の適切な水分が必要になってくる。特に下半身については乾燥しやすいことがある。水分不足から赤切れも起こる。
自分も経験があるが皮膚の炎症に体に塗布するオイルは実はオイル自体が有効成分ではなく、それにより皮膚からの蒸散を防止し、適度な水分量を保つことで炎症を抑えるという効果があるようです。
また化粧水については化粧水に含まれる水分と角質のヒアルロン酸が結びつくことによって水分を回復させるという効果があります。今ではオイルと化粧水の融合剤のコールドクリームやバニシングクリームというものがある。
スキンケアの大切さ
アトピーとスキンケア 自分も幼いころからアトピーを患い皮膚の炎症と戦ってきた。
著者によると生まれたての子供は皮脂腺がなく乾燥に弱いため生まれる時期により皮膚炎を起こす可能性が変わるという。
冬を迎える9月ごろに生まれた子と夏を迎える4月ごろに生まれた子を比べると皮膚疾患を持つ割合は前者が多いそうだ。
これは別にしても自分の顔や四肢屈側の炎症は本当にひどいものがあった。思い出すとゾッとするくらい。風呂に入れば針で刺されるように痛く、朝起きてみると血だらけのパジャマというサイクル。
オイルや包帯を巻いてトライしてもあまり改善がなかった。いつの間にか治っていたというのが本当のところだけど。今おもえば適切な処置が出来ていればなと思うことも多い。
まず体質だと諦めていた季節の変わり目に必ずできる赤くぐちゅぐちゅした湿疹があった。決まって目の周り鼻の周り、口元に出来ていた。
これは体の中でも角質が薄いところで、蒸散量も多く常に露出している場所だ。そして外気の影響を受けやすい。
ここのケアがしっかり出来ていればなと思う。おもえば季節の変わり目にできる事が多いのも納得できる。冬は乾燥しバリアが薄くなり、夏は多湿で皮脂成分を除去できていなかったんだろう。 今では朝晩の洗顔、化粧水、乳液塗布を行なっているだけで全くと言っていいほど現れなくなった。本当に驚きだった。
紫外線ケアにもっと光を
太陽については今では日焼け止めも盛んに言われているが、日光浴と言うと体に良いイメージがあるし、太陽下での運動も素敵なことの様な伝わり方が多い。
でも実際は確実に光老化が進行しているし、著者によると一種の放射線障害とまで言われている。
ここからは自分の折り合いにはなるけれどどこまで気を使えるかだと思う。今の日本で過ごす位であればシワ、シミで済むかもしれないけれど、場所によっては皮膚癌にもなってしまうという。ますます紫外線対策が必要になってくる。
春から秋にかけては昼30分以上日光に当たる場合には帽子、長袖長ズボン、日傘、日焼け止めが推奨されているという。 30代に入ると体の表皮のどこかに黒いシミがうっすら出てきていることに気づくこともあるでしょう。これは今までの長期日光曝露の結果で。
なぜなら通常覆われている下腹部や足にはそういうものはないですしね。 もう受けてしまった紫外線のことは仕方がないにしてもこれから受けるであろう紫外線はできるだけカットしておくことが必要です。見た目以上に健康でいるために。
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