Chioという雑誌に発達障害の特集がされていましたので読んでいます。この雑誌はたまたま見つけたものです。
特集は「こどもの精神科医・心理士がこたえる 発達障害をめぐる19の疑問」(監修:石川憲彦)となっています。
19個の疑問に対して医師などが回答する形式になっています。特に専門用語も多くなく、対話形式のような書き方で進んでいきます。その中で自分の気になることをピックアップしていこうと思います。その⑥です。
テーマは「薬?トレーニング?将来は・・・?」の4回目となります。
今回はコミュニケーション能力と社会性について語られておりました。人には限界があって、何でもかんでも対応できるものではない。人は色々な人がいるから、自然現象のように一律な対応ではうまくいかないし、それに対応し続けることはできない。そこは諦めが必要。
自分の特性が他人にどう映るかを楽しんで、頼れるところは頼っていく。失敗することは誰でもあることだしそれを肯定的に受け取れるように(次はこうしようとか)、長い目でどっしり構えることが大切ということです。
コミュニケーション能力は?社会性は?どう育む?
だれもが失敗する。大切なのは、その経験をまわりと共有し、おのおのの苦手さをおのおのの得手でカバーしあうこと。
回答 石川医師
人にはもともとコミュニケーション能力が備わっていると石川医師が言います。それは自然界とのコミュニケーション能力。自然界のルール(曇っていれば雨が降るとか、太陽紫外線で殺菌効果があるとか・・・これは自分が想像で書いています)への対応は遅かれ早かれできるようになっているわけです。
しかし人と人とのコミュニケーションはこの自然法則のように回答はありません。普通ならこうでは?というところに全く違う対応をする人など人によっていろいろです。
だからそもそも人とのコミュニケーション能力には限界があると思っていくことが大事なようです。
我に返ってもこの人は苦手だ、ということはありますよね?発達障害の人もそれ範囲がもしかしたら狭いだけとも考えられます。
限界の乗り越え方、失敗を受け入れる
そういう限界とか、失敗は当然誰にでもあります。それは定型発達であってもそう。それをどう乗り越えていくかということが次の課題です。
失敗を認めるそれは誰にでも限界があるからです。失敗してはいけないということは無いってことをまず子供に教えることが大事ですね。それを受け入れる。
その失敗は自分のどういう特性が相手にどう映っていたかを考える場として、さらに特性を理解していく。そういう風にして肯定的に認めていく作業が大事だと石川医師は言います。
そして次は、特性を開示して人に頼る。特性を治すということは残念ながらできません。ですからそれをオープンにして、相手側のコミュニケーション能力に頼っていく。それに対応できる人(書中では「融通の利く人」と言っています)が必ずいて、得手をうまく働かせてくれます。
こんな感じでしょうか。
コミュニケーションに失敗→特性がどう映ったのかな?
→こういう特性があるよと開示
後は相手側に任せるという思い切ったことだってありですよね。こちらが何でもかんでも折れ曲がる必要はないということ。
親の都合での方向付けはNG
親が自分の格好がつく方向への誘導とか、親の思う心地よさへ持っていくことは良くありません。
特性を互いに楽しみあう関係ができれば良いと石川医師は言います。子どもの失敗があってそれに気づければそれを褒める。失敗に気づくということだって案外できないことです。
そうして子供とどうやって他人に理解されるかを工夫していくこと。
最後はどっしり構える
そうは言っても失敗は応えるものだと思います。うまくいかないことでくよくよせず楽観的に耐えていくといいます。
どっしり構えていく。言うのは簡単だなとも思いましたが、そうとしか言いようがないのかもしれません。
今回でこの本の発達障害の項目は終わりです。以前にも読んでいた「発達障害とは」みたいな本とは少し違った切り口で楽しく読めました。確かに楽観的に書いてあり、当事者がどれくらい書いているのかなとも思いましたが、医師が回答しているということが大事なのかなと思います。
失敗から工夫していく、親は「非常識」になっていい、など他の本には書いていないことも多かったですね。一方では「発達障害は体質であり、肯定的に見れば個性」冷静な言葉もありました。
これからの子育てに色々な情報を入れておきたいなと思いこの本を手に入れました。巷の学習書とも共通するのは本人の自己肯定感がやっぱり根底に築くことの大切さでした。
ふと気づいたこともあります。この自己肯定感というのは「嫌われる勇気」という本にある他者貢献感にどこか似ていないかなと。
自分はここにいてもOKという感情は発達障害であろうとなかろうと心地よく生きる必要条件なんでしょうかね。