「自閉症スペクトラムのある子を理解して育てる本」をよんでいます。今回は第五章です。
章のタイトルは「こんなときどうしたら?気になる姿と対応」です。
年代別に12のケースを用いて気になる姿とその対応の方法が書かれています。
またケースも「日常生活での気になる姿」、「コミュニケーションで気になる姿」、「円や学校生活で気になる姿」の三つのカテゴリを用いて具体的に説明されています。
目に見えない部分に目を向ける
気になる姿、例えば最初に出てくるのは、偏食です。白いご飯とうどんしか食べない子供のケースです。
この偏食という見える(出現)する部分は実は最終的に人に伝わっているだけであり、根本の原因があると考えます。氷山の一角と考えるとどう向き合えばいいのかがわかってきます。
この目に見える部分は、通常のかかわりの中では少し独特に映ってしまいます。ただそれは本人が「わざと」や「わがまま」でやっていることではありません。
それはASDの特性であり、その子の脳からの指令がそうさせているのです。だから園子自身もそれに対してコントロールが難しく、困っていると考えます。
この偏食の場合は感覚(触覚、味覚や嗅覚)の過敏さが根本にあり、食べたことのあるもの以外は不安がまして食べられないということが考えられます。
これに対しては無理はせず、ただ放置はせずに経験のある食べ物をベースに工夫を重ねていって食の経験を積み重ねていくことが一つの方法です。
このように具体的に表面の減少からその奥に隠れている要因を探り当てて対応を考えるようなやり取りがいくつも書かれています。
ここのケースはすべてが当てはまるわけではありませんが、どうしてできないんだろう?と疑問に思う親に対してかなり助けになる思考が載っていると思います。
困っているのは子供も一緒
ここは自分の思うところですが、このASDは子供自身も困っているということが、親であっても伝わりにくいと思います。
こんなに困らせて何が楽しいんだとやっぱり思ってしまうことも正直あると思います。でも本当は子供の課題で、子供自身が一番困っていることを思い出せば気持ちも違ってきます。
自分も子供がすごく小さいときに、夜泣きがひどくて困っている、全然寝られないということをふと仕事仲間に行ったことがありました。
その時、かなりあっさりと「でも一番困っているのは子供だからね」と言われてかなりびっくりしたことが忘れられません。
どうしても視点が自分スタートになってしまいます。いつでも子供優先はできないですが、子供視点が欠けてしまうことは往々にしてあります。
そういう時にはこれは誰の課題で、困っているのは本当は誰なんだろうと思い起こすと行動が変わってくると思います。
とりあえずこの本は終わりです。
この本は基本は読みやすく、具体的な例も多くサクサク読めるのでとてもお勧めできます。
また導入の本でもありますので、ASDの細かい情報や教育の対応はそこまでページを裂けていません。気になったところは別の本で詳しく読んでいけばよいと思います。
ASDは人それぞれの特性がありますのでいろいろな人の体験談を聞いたり、読んだりすることで打てる手が多くなると思います。また違う本を紹介できればと思います。
おわり